コラム:2025年メタルロボット魂最新事情

こんにちは!超合金買取専門店「グリスタ」のコラム、久しぶりの更新です!

今回のテーマは、超合金ブランド
「METAL ROBOT魂(メタルロボットたましい)」の最新事情について
ご紹介したいと思います。

「METAL ROBOT魂」といえば、バンダイが展開する
超合金フィギュアブランドの中でも可動性や
飾りやすいサイズ感で知られる人気シリーズです。
金属パーツをふんだんに使用したそのずっしりとした重量感、
細部まで作り込まれたディテール、そしてスムーズな可動範囲など、
まさに“大人のための超合金”といえるラインナップが魅力です。

そんなMETAL ROBOT魂も、今年2025年で
ブランド誕生からついに10周年!
初代アイテムとして登場した「Hi-νガンダム」と
今リリースされている商品群を比べると
ラインナップも増え、全体のクオリティも驚くほど進化しています。

素材や塗装、関節の安定感、さらには
アレンジのセンスも格段にレベルアップしたMETAL ROBOT魂を
徹底深堀りしていきます!!

【メタルロボット魂とは】

「METAL ROBOT魂(メタルロボットたましい)」は、
株式会社BANDAI SPIRITSのコレクターズ事業部が展開する
完成品ロボットフィギュアブランド「ROBOT魂」の
高級派生ラインとして、2015年よりスタートしたシリーズです。
ROBOT魂は2008年から続く可動フィギュアシリーズであり、
アニメ・ゲームなどに登場するロボットを高い可動性で
立体化することを目的としていますが、その中でもMETAL ROBOT魂は
より質感・重量感・彩色・構造の完成度を高めた
“ハイグレードモデル”として位置づけられています。

本シリーズ最大の特徴は、商品を構成する部品に
金属素材であるダイキャスト合金を取り入れていることであり、
これにより手に取った瞬間にわかる金属特有の重量感と冷たさ、
そして剛性を備えた質感を楽しむことができます。
また、ポーズを取った際の安定性や関節の保持力も
従来のROBOT魂と比べて向上しており、単なる可動モデルにとどまらず
プレミアムな完成品としての魅力を高めています。

近年のフィギュア市場では単なる遊玩具ではなく、
大人の鑑賞に耐える質感や造形が重視される傾向にあり
そうした背景からもMETAL ROBOT魂の登場は必然であったと言えます。
ROBOT魂がABSやPVCなどの樹脂素材を中心に
構成されているのに対し、METAL ROBOT魂は
内部構造に金属を使用することで、重量や質感、
耐久性を加味しながらも、従来のROBOT魂の
可動性を損なうことなく設計されている点が大きな特徴です。
また、彩色面でも大きな進化が見られ、メタリック塗装やグラデーション、
細部のマーキングなど、目視で確認できるディテールの再現度が非常に高く、
日常を飾るアイテムとしても完成度が高いです。

モデルとなるメカやロボットのラインナップは、
主に『機動戦士ガンダム』シリーズの中でも平成以降の作品群、
例えば『SEED』『SEED DESTINY』『00』『鉄血のオルフェンズ』といった
人気作品からの立体化が中心で、登場する機体は
いずれも人気の高い主役級モビルスーツが多く、
ガンダムを支持する熱烈なファン層の期待に応えています。

代表的なアイテムとしては、
ストライクフリーダムガンダムやダブルオーライザー、
ウイングガンダムゼロ(EW版)、ガンダムバルバトスルプスレクス
などが挙げられ、いずれも高評価を得ています。
これらの製品は、商品情報が公開されるや否や予約が殺到し、
早期完売となることも多く、ファンの間でも非常に注目度が高いです。
METAL ROBOT魂は、そのプレミアム性に加えて
平均的なガンプラ(ガンダムのプラモデル)と同じ
1/144スケールを基準としていることも大きな利点であり、
METAL BUILDなどの1/100スケールの
大型モデルに比べて場所を取らず、複数体を並べて飾る
コレクションスタイルにも適しています。

また、価格帯も1万円台からと比較的手に取りやすく、
ROBOT魂シリーズやガンプラなどと並行して楽しむファンも多いです。
METAL BUILDは担当メカニックデザイナーが
既存のデザインをアレンジした完全新規設計のモデリングで
構成されることが多く、価格も2万円〜3万円台と高価であるため
よりディープなコレクター向けであるのに対し、
METAL ROBOT魂は“本格派でありながらも手に取りやすい”という
絶妙な立ち位置にあるため、近年ではMETAL ROBOT魂の人気が
国際的にも広がりを見せており、アジア圏や欧米のファンからの
支持も拡大しています。

さらに、劇場版作品との連動展開やシリーズの再販、
新規機体の追加なども続々と予定されており、
今後もその展開は加速していくことが期待されています。
ROBOT魂の可動性、超合金シリーズの重量感、
完成品モデルの彩色・造形美といった魅力を一体にまとめ上げた
METAL ROBOT魂は、まさに現代のロボットフィギュアの
完成形の一つであり、コレクターにとっての“ちょうどいい贅沢”
としてのポジションを確立しています。

【メタルロボット魂の変化】

2015年に満を持して登場したMETAL ROBOT魂の最初の商品として登場したのが「METAL ROBOT魂〈SIDE:MS〉Hi-νガンダム」です。
定価10,780円(税込)という価格設定であったことも10年前に話題となりました。
ABSやPVCといった従来の素材に加えて、関節部や脚部などの可動基幹に
ダイキャスト合金を採用することで、ずっしりとした手応えと
高級感のある存在感を実現したこの機体には、リリース当時に
“この価格帯でこの仕上がり”という評価が多く寄せられ、
コレクターズ市場において確かな地位を築くこととなりました。

そして2025年を迎えた現在、METAL ROBOT魂はブランドとしての
成熟期を迎えています。
ラインナップは大幅に拡大し、そのほとんどがガンダムシリーズの
特に「機動戦士ガンダムSEED」から始まる
「SEEDシリーズ」の機体で構成されています。
このSEEDシリーズの盛り上がりの背景には、
2024年に公開された劇場作品『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の
大ヒットがあり、この新作公開によって
キラ・ヤマトやアスラン・ザラをはじめとしたSEEDのキャラクターと
モビルスーツたちが再び脚光を浴びたことで関連商品のリリースも急増しました。

2025年には、その熱気を反映するかのように
「ストライクフリーダムガンダム弐式」や
「インフィニットジャスティスガンダム弐式」、
「ソードインパルスガンダムSpecⅡ」といった新機体が
続々とMETAL ROBOT魂シリーズにラインナップされています。
このような時流に乗る形で、現在の〈SIDE:MS〉シリーズは
かつてないほどの注目を集めており、商品そのものも
10年前とは比べものにならないほど進化しています。

まず、価格面では2025年現在の販売・予定商品のほとんどが
19,800円〜24,200円(税込)という高価格帯に設定されており、
最も安価なモデルでも2015年のHi-νガンダムに比べて
約9,000円高騰しています。
これは一見すると単純な値上げのように思いますが、
その内実を見ていくと価格相応あるいはそれ以上の
進化が詰め込まれていることがわかります。

素材・構造の面で特筆すべき点では、ダイキャスト使用率の向上が挙げられます。
初期のHi-νガンダムでは、関節や一部内部フレームに
ダイキャストが使われていたものの、その範囲は限定的であり
あくまで「重量感の演出」的な位置づけでした。
ところが近年の商品では、骨格構造全体にわたって
金属パーツが用いられており、機体によっては
胴体フレーム全体にまで及ぶケースもしばしば見られます。
これにより安定性と関節保持力が飛躍的に向上しており、
複雑なアクションポーズも自立状態で再現できるようになりました。

彩色表現についても著しい進化が見られます。
2015年のHi-νガンダムではパールホワイトや
メタリックブルーといった基本的な色味が丁寧に施されていましたが、
2025年の新作群ではグラデーション塗装、
マットメタリック処理、マーキング印刷の密度が
格段に高くなっています。
この塗装技術の向上が顕著にあらわれているのが、2025年12月発売予定の
「ストライクフリーダムガンダム弐式[初音ミクVer.]」です。
このモデルでは、ミントグリーンとホワイトのツートーンカラーに
パールやホログラム彩色を取り入れることで、
まるでステージライトを浴びた歌姫「初音ミク」のような
幻想的な輝きを再現しています。
このような“アート性”を備えた機体は、従来のミリタリー色の強い
リアルロボットフィギュアでは見られなかったアプローチであり、
METAL ROBOT魂シリーズにおける表現の幅を象徴しています。

次に、デザイン面での変遷に注目すると2015年の商品群は
比較的アニメの設定画に準拠したクラシカルなデザインの立体化が中心でした。
Hi-νガンダムにおいても、設定画に忠実でありながら
ROBOT魂独自のアレンジは控えめで、ファンの想像する
“定番フォルム”を形にしたスタンダードな造形でした。
それに対して2025年の商品では、アレンジの度合いが増しており
メカニカルなディテールの密度、エッジの効いた造形、
翼や武装の構造美にいたるまで、
“魅せるロボット”としてのビジュアルが大きく進化しています。
とりわけ「ストライクフリーダムガンダム弐式」や
「インフィニットジャスティスガンダム弐式」では、
従来の「スタイリッシュでシャープなMS像」をさらに昇華させ
アーティスティックかつヒロイックな雰囲気を纏う設計となっています。

このような変化は、ユーザー層の意識変化にも呼応しています。
2015年当時のMETAL ROBOT魂の購買層は、
主に30〜40代のガンダムファンを中心とした“リアルロボット世代”でした。
彼らはアニメ準拠のディテールや重量感を重視し、
「手に取って飾る」ことを目的としたコレクション志向の傾向が強い方々でしたが、
対して2025年現在ではSNSや動画配信を通じた
“見せるコレクション”の文化が広がっており、
商品写真やディスプレイ、レビュー動画などにおいて
視覚的なインパクトを求める傾向が強まっています。
これに呼応するように、METAL ROBOT魂の商品も
“映える”造形と彩色を重視する方向へと進化しています。

さらに、過去にはなかったジャンル横断型のコラボも増えており、
初音ミクとの融合を果たした「ストライクフリーダムガンダム弐式」のように、
“ガンダム+音楽”という新たな世界観を提案する商品が登場しています。
これは、ガンダムというフランチャイズが抱える
硬派なイメージからの脱却を意味しており、
新たな顧客層へのアプローチの一環にもなっています。
こうした異分野との融合は、単なる話題性に留まらず
造形技術・彩色技術のさらなる発展の契機ともなっており、
今後のMETAL ROBOT魂の展開においても大きな指針となると思われます。

【これからの懸念事項】

総じて言えば、2015年から2025年の10年間で、
METAL ROBOT魂〈SIDE:MS〉は単なる
“可動ロボットフィギュアのハイグレードモデル”から、
“高密度でアート性の高いコレクターズプロダクト”へと
変貌を遂げたと言えるでしょう。
その進化は価格にも反映されていますが、
それ以上に内容面での充実ぶりが際立っており、
価格上昇を十分に納得させる完成度を誇っています。

しかし、原材料費や人件費、輸送費など
様々なコストが高騰し続けている影響から
METAL ROBOT魂の販売価格は今後も上昇し、
バンダイの主要ブランドの中でも更なる高価格帯の
銘柄に変化していくことが考えられます。

この価格の上昇は新規のファンが商品の購入を検討する際の
障壁となる可能性が高く、また、既存のファンが離れていく
要因になるかもしれません。

こうした状況の中で上昇していく販売価格に
値するだけの付加価値をどのような形でファンに提供できるのか、
その付加価値はファンの信頼に足るものになるのかが課題となるでしょう。

METAL ROBOT魂はガンダムをはじめとするロボットアニメファンの
欲望を体現するフィギュアとして、そして次代のフィギュア表現を
リードする存在として、今後も進化を続けていくことと思います。

どうか超合金ロボットフィギュアの一端を担うブランドとして
厳しい情勢を生き残ってほしいと切に願います。