因幡てゐ
『因幡てゐ(いなばてゐ)』とは「東方Project」の登場キャラクターである。
初出は「東方永夜抄」Stage5中ボスで、「東方花映塚」などその他の作品にも登場。
テーマ曲
『お宇佐さまの素い幡(花映塚) 』
概要
健康に気を遣って長生きした結果、妖怪変化の力を身につけたという妖怪兎。
幸運を授けてくれるという話がある為、珍しく人間からの人気が高い妖怪だが、特別人間に好意的という訳でもないらしく、人間との友好度は普通。
また、人間を「何でも食べる意地汚い奴」と評した事もあった。
現在は迷いの竹林にある「永遠亭」で暮らしているが、てゐは永遠亭が出来る前から迷いの竹林に住んでいた。
てゐはかつて高草郡と呼ばれていた時代からこの地に生きる最長老であり、迷いの竹林の持ち主なのだという。
それだけにてゐは迷いの竹林を熟知しており、妖精さえも迷うと言われるこの地にあっても道に迷う事は無い。
竹林の事を全て知っているのはてゐだけだとされている。
永遠亭に住む多数の地上の兎のリーダーであると同時に、月の兎『鈴仙』と地上の妖怪兎達によって結成された兎の理想郷を考える集団「兎角同盟」の幹部をしており、同組織においては妖怪ではない地上の兎を取り仕切る事もしている。
てゐの知らない妖怪兎は存在しないと言われており、兎達はてゐの命令にしか従わず、その命令は何でも聞くという。
竹林で迷った際にてゐを見かければ抜け出せると言われている為、人間からは迷いの竹林の道案内役と思われている。
しかしてゐは『藤原妹紅』のように仕事や自分の意思として道案内をしている訳ではなく、それどころか『チルノ』から帰り道を尋ねられた際には、にべもなく案内を断っている。
とは言え、竹林を彷徨っていた『咲夜』に出る方法を教えようと持ちかけた事もあるので、どこまで本気か不明だが、全く道案内をしない訳ではないのかも知れない。
名前の由来
彼女の「てゐ」という一見由来の分からない、不思議な名前の出どころに関しては幾つかの説がある。
「竹取物語」冒頭の文にちなむと言う説
物語冒頭で翁が光る竹の中からかぐや姫を見つけるシーンの一文に、
「それを見れば、三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり。」
とあり、ここから採られた名前であるという説。
万葉仮名由来説
「て」と「ゐ」を平仮名の原型である万葉仮名に戻すと「天」と「為」であり、繋げて「天為」となる。
天為とは「天の為すわざ」の意味であり、てゐのある意味天命を左右する力である「人間を幸運にする程度の能力」に由来する名前であるという説。
十干十二支由来説
てゐを十干の一つ「丁(てい)」とし、丁は四番目を意味して使われることもあるので、十二支の四番目である「卯(うさぎ)」を示した名前であるという説。
外見
外見的には白い兎耳と尻尾が最大の特徴の、黒髪の幼い少女である。
身長はかなり低く描かれている事がほとんど。
季節を問わずに薄桃色の涼しげな服を着ており、スカートからは尻尾を出せるようになっている。
「永夜抄」のカットインや「求聞史紀」の挿絵では裸足であったが、常に裸足という訳ではなく、「花映塚」のカットインや「儚月抄」の漫画版、「儚月抄」の小説版の挿絵等で靴を履いている姿も確認出来る。
てゐのシンプルなファッションにおいて、ニンジン型のネックレスが印象的なアクセントとなっているが、これを身に着けるようになったのは「花映塚」からである。
「花映塚」以降の作品である「求聞史紀」の挿絵でもネックレスは確認出来ないが、これは『阿求』のデータが古いか、あるいは常にネックレスを着けている訳ではないのかも知れない。
『永琳』によると、本人を見ていると何の威厳も感じられないが、大量の兎を自由に操る姿は仙人を思わせると言う。
また、数百年前に初めて会った時には白い服を着ていたとの事だが、詳細は不明。
性格
妖精のように気性の激しい性格で、「花映塚」における『鈴仙』の波長診断でも、「兎の中でも飛び抜けて短い波長」つまり、もの凄い短気と評された。
また、非常にお調子者で悪戯好き。
賽銭詐欺などの規模の小さな詐欺的行為も働いているようで、『映姫』にも「程度の低い詐欺師」呼ばわりされている。
ただ、詰めを誤り痛い目に合う事もある。
ただし、非常に長い時間を生きてきただけあり、知識と経験はかなり豊富なもよう。
時に、『輝夜』の能力と『永琳』の知恵の合作である仕掛けを潜り抜けたり、「昔の鬼の酒の味」を知っていたり、地上の古い神々を懐かしむ様子を見せたり、「お師匠様(永琳)よりダイコク様の方がいい薬を作る」と永琳をコケにしたりと、妙なカリスマを発揮する事もある。
また詐欺だけでなく商売も行うことがあり、とある大晦日には「博麗神社」に並んだ露天の一角で「カラーうさぎ」を取り扱っていたり、別の機会には中有の道の出店の半数以上をM&Aで掌握したりと、やり口に問題はあるが商才はあるようだ。
能力
人間を幸運にする程度の能力
てゐの姿を見た者には幸せが訪れるという。
しかしその幸運はあまり長持ちしないらしく、迷いの竹林を迷わずに抜け出すといった事でも効果が終了してしまうらしい。
授かった幸運をその程度の事に使ってしまうのはもったいないとされているので、潜在的により大きな応用範囲がある事は確実と思われる。
幸運が具体的にどこまでの効果を持つのかを示す例は少ないが、咲夜はてゐの足下が全て四葉のクローバーという現象に驚かされた事がある。
この件についててゐは「四つ葉のクローバーも、十万分の一の確率もあるんだから、レアでもなんでもないわね」と語っており、その群生程度の幸運偏差は容易というのが、自身の能力に対する認識なのだろう。
求聞史紀では「四葉のクローバーで喩えると、四十葉のクローバー程度の幸運」が貰えるとされている。
能力名には人間を幸運にするとあるが、厳密に人間のみに効果を発揮する能力ではない可能性もある。
『文』がてゐを犯人として記事にした「賽銭詐欺騒動」の際、てゐは自身の能力は『アリス』や文のような妖怪にも効果を発揮するという趣旨の発言をしている。
大結界異変での『ミスティア』との対戦時には「雀になんか幸運を分けてやらないからね!」と発言しており、これらの主張が正しいのなら、てゐは妖怪に対しても幸運を付与する事が可能で、更に能力の発動を任意に操作可能という事になる。
花映塚のマッチモード対戦時、てゐが「○○すれば幸せになれるわ」と、幸せについての忠告めいた台詞を口にするのは、人間である『霊夢』、『魔理沙』、咲夜、そして一応人間枠の妖夢が相手の時だけなので、人間を幸運にするという能力名は、てゐなりのこだわりを反映したものなのかも知れない。
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